半導体製造工程におけるサビレックス製品の有効性
半導体製造における高純度薬液の重要性
半導体製造工程は、非常に高度な微細加工技術を必要とするため、使用される薬液の純度は極めて重要です。
微量の金属不純物が混入すると、デバイスの特性に悪影響を及ぼし、歩留まりを低下させる可能性があります。
半導体製造工程には、
回路設計 ⇒ フォトマスク作成 ⇒ ウェーハ製造工程 ⇒ シリコンインゴット切断 ⇒ ウェーハの研磨 ⇒ ウェーハ表面の酸化 ⇒ 薄膜形成 ⇒ フォトレジスト塗布 ⇒ 露光・現像 ⇒ エッチング ⇒ レジスト剥離・洗浄 ⇒ イオン注入 ⇒ 平坦化 ⇒ 電極形成
など、複雑で多数の工程があります。
半導体の微細化・高性能化により製造プロセスの複雑さが増している現在では、薬液中に残存する微量金属は、エッチングプロセスにおける加工異常など、電気特性および加工形状に異常を発生させる可能性があり、歩留まり低下や品質トラブル回避の極めて重要なファクターになっています。
各工程における微量金属汚染リスク
フォトマスク作成
フォトマスクの材料や製造工程で使用する薬品から微量の金属が混入する可能性があります。
特に、クロムなどの金属膜を蒸着する工程では、蒸着源からの金属不純物の混入に注意が必要です。
ウェーハの研磨
研磨液に含まれる研磨粒子や添加剤から、金属が溶出する可能性があります。
ウェーハ表面の酸化
酸化処理に使用する過酸化水素などの薬品に金属不純物が含まれている場合、シリコン表面に金属酸化物が形成される可能性があります。
薄膜形成
CVD(化学気相堆積)やPVD(物理気相堆積)などの薄膜形成工程では、使用されるガスなどから金属不純物が薄膜中に混入する可能性があります。
フォトレジスト塗布
フォトレジスト液に含まれる添加剤や溶剤から微量の金属が溶出する可能性があります。
露光・現像
現像液に含まれるアルカリ成分が金属を溶解し、レジストパターンに金属不純物を残す可能性があります。
エッチング
湿式エッチングに使用するエッチング液に金属不純物が含まれている場合、シリコン基板をエッチングする際に金属が堆積する可能性があります。
レジスト剥離・洗浄
レジスト剥離液や洗浄液に含まれる界面活性剤や有機溶剤から金属が溶出する可能性があります。
国内半導体生産への貢献
半導体の国内生産体制の増強に伴い、製造装置に加えて生産に使用する国内調達品の多くに厳格な品質が求められています。
中でも、薬液保管に使用するボトル・容器類、ガスや液体供給用チューブには、耐熱性・耐薬品性・純粋性・非粘着性などに極めて優れたPFAなどのフッ素樹脂が使用されています。
耐熱性
PFAの最高連続使用温度は260℃と言われており、様々な樹脂の中でも極めて優れた耐熱性を備えています。ウェーハ表面の酸化工程での高温酸素の供給にもPFAチューブが使用されます。マイナス温度の耐熱性にも優れています。
耐薬品性
強酸やアルカリにも侵されにくい特性があり、ほとんどの有機溶剤に溶解せず、変形や劣化を起こしません。 化学的にも非常に安定しており、他の物質と反応しにくいため純度の高い環境を維持でき、安定性に優れています。
純粋性
有機溶剤に対する抵抗率が強く、内容物への溶出・金属イオンの汚染を防げます。
非粘着性
表面が非常に滑らかで物質が吸着しにくいため、貴重な薬液をロスなく回収することが可能です。残液汚染を防ぎやすく洗浄も容易です。
なかでも、当社で取り扱うサビレックス社のPFA製品は、世界最大の半導体製造国のアメリカでの評価も高く、すべてバージンPFA樹脂で製造されるなど、各社PFA製品の中でも樹脂からの金属溶出が極めて少ないPFA製品ブランドとして流通し、半導体の品質向上に貢献する各種PFA製品を提供しています。
サビレックスが提供する半導体関連PFA製品群
- ボトル
極めて質が高いボトルです。独自のフッ素樹脂成形技術により、歪みがない容器捻子部と捻子蓋による高い気密性を実現し、薬液の安全な保管を促進します。注出口に窪みが一切ないため薬液の残液ロスもございません。 - ジャー
高純度薬液のサンプル保管をはじめ、不純物の溶出がない高純度保存が求められる用途に使用されます。肉厚構造、完全一体成形、角のない内面加工など、最大2Lまでサイズがある広口容器です。 - バイアル
高純度のPFAレジンから製造されたPFA小型容器で、半導体産業でのトレーサビリティ用の薬液保存や、ICP-MSの前処理分解など、極めて高い純度が求められる用途に使用されています。 - チューブ
高純度PFAレジンから製造されており、ほぼ全ての薬液に対して不活性です。耐薬品性に優れ溶出が極めて少ないため汚染のない移送が可能で、熱による劣化を受けることもありません。 - コネクター
チューブ同士の接合、容器とチューブの接合、ストップコックなど、各種形状のコネクターがあります。 - 酸浄化システム
非沸騰式蒸留により1ppbグレードの酸を10pptグレードに高純度化する自動精製装置です。ヒーター内蔵式で接液部は全てPFAで成型され、蒸留された酸は直接回収ボトルに流入するため不純物の混入を回避できます。 - PFAコーティングホットプレート
熱伝導性が高く粒子が細かいグラファイト天板の表面をPFAでコーティングしています。本体には熱源を多く配置するなど、温度分布性と純度を追求し、極めて均一で汚染のない試料分解が要求される微量元素分析の前処理用ホットプレートです。